Google 広告のアカウント構成の結論から書きます。キャンペーン数はできるだけ少なく、そして1つ1つを月30コンバージョン以上出せる大きさに保つことです。予算で支えきれない数のキャンペーンを開くと、自動入札が学習に使う信号そのものを分割してしまいます。広告グループは、検索キャンペーン1つにつきテーマ別で3〜7グループあれば2026年の多くのアカウントで足ります。
リスティング広告のアカウント構成とは何か
アカウント構成とは、アカウント・キャンペーン・広告グループ・広告とキーワードという4階層のなかで、予算とコンバージョンデータを何分割するかを決める設計判断です。キャンペーン階層が予算、入札戦略、地域、配信ネットワークを持ち、広告グループ階層が検索意図と広告文を持ちます。つまりキャンペーン数はレポートの好みではなく、データがどれだけ薄くなるかを決める判断です。
キャンペーンはいくつが正解か
正解は、予算とコンバージョン量が許すかぎり少ない数です。実務的な目安は、月間の総コンバージョン数を30で割ること。その値が支えられるキャンペーン数の上限になります。月90コンバージョンのアカウントなら3キャンペーンは余裕で回りますが、同じアカウントを10分割すると1キャンペーン平均9件となり、自動入札は読み取れる傾向を見つけられません。
新しいキャンペーンを開く唯一の正当な理由は、その分割がキャンペーン階層でしか設定できない項目を必要とすることです。次の5つは分ける価値があります。
- 予算を分ける必要がある: 指名検索と一般検索を同じ予算で回してはいけません。
- 目標タイプが違う: 販売目的のキャンペーンと見込み客獲得のキャンペーンは同じ入札目標を共有できません。
- 利益率やROAS目標が違う: 利益率15%の商品と60%の商品を1つのROAS目標では管理できません。
- 地域や言語が違う: 地域と言語の設定はキャンペーン階層にしかありません。
- キャンペーンタイプが違う: 検索、ショッピング、動画、Performance Max はそもそも別キャンペーンです。
データの希薄化とは何か、自動入札に何をするのか
データの希薄化とは、同じコンバージョン量を多数のキャンペーンと広告グループに分けた結果、どの単位にも統計的に意味のあるデータが残らない状態です。自動入札はオークションごとの価値を推定するために傾向を探します。読み取れる材料が少なすぎると慎重になり、入札を動かし、学習期間が長引きます。結果は、同じ予算でのCPA上昇と週ごとの激しい振れです。
プラットフォームのドキュメントでは、目標コンバージョン単価 (tCPA) や目標広告費用対効果 (tROAS) の目安として、直近30日でキャンペーン当たり30コンバージョンという水準がよく挙げられます。学習期間は通常7〜14日です。1日の予算を目標CPAの10〜20倍に保つと、この学習が現実的な期間で終わりやすくなります。戦略そのものの比較はtCPA と tROAS の解説にまとめました。ここで重要なのは、選んだ戦略に構成がどれだけデータを残せるかです。
キャンペーン当たりのコンバージョン数を把握していますか
Ads Sensor は Google 広告、Meta広告、TikTok広告、Criteo、GA4 を1つの画面にまとめ、どのキャンペーンが基準を下回っているかを根拠つきで示します。
広告グループの分け方: テーマ別か SKAG か
検索キャンペーン1つにつきテーマ別で3〜7グループが、多くのアカウントで妥当な範囲です。テーマ別広告グループとは、同じ検索意図を持つ3〜20のキーワードを1セットのレスポンシブ検索広告に対応させたグループです。1キーワード1広告グループ (英語で single keyword ad group、略してSKAG) はキーワードごとにグループを作る古い手法で、いまは多くのアカウントで逆効果になります。
- 類似パターンの拡大: 同じ検索語句がすでに複数グループに入るため、1キーワードで得られるはずの制御はほぼ失われました。
- レスポンシブ検索広告: 見出しと説明文の組み合わせは自動でテストされます。1キーワードのグループではその余地がほとんどありません。
- 信号の分割: 数百グループに割れたアカウントでは、どのグループも学習に足るコンバージョンを集められません。
- 運用コスト: グループを増やすたびに除外キーワード、広告文、リンク先ページの管理が増えます。
SKAG がいまも成立するのは、単体で検索量も価値も大きい少数のキーワードだけです。それ以外は検索意図でテーマを組み立ててください。指名、カテゴリ、商品特徴、課題ベースの検索といった単位です。テーマ同士の漏れを防ぐために除外キーワード戦略を構成の一部として扱い、広告文とリンク先ページの一致は品質スコアに直結することも忘れないでください。
キャンペーン統合はいつ効くのか
統合が効くのは、2つのキャンペーンが目標タイプ、利益率帯、地域、入札戦略を共有している場合です。同じ予算を12キャンペーンから4キャンペーンに寄せた中規模アカウントの想定例では、キャンペーン当たりの月間コンバージョンが13件から39件に増えます。総数が変わらなくても、自動入札が読み取る傾向は鮮明になり、学習は早く終わります。
- 直近90日のキャンペーン当たり月間コンバージョンを測ります。
- 月30件を下回るキャンペーンを統合候補として印を付けます。
- 候補を目標タイプ、利益率帯、地域で突き合わせます。条件が合わないものは統合しません。
- 統合は1回の作業で終わらせます。少しずつ移すと学習が何度もリセットされます。
- 移行後14日は結果を読まないでください。最初の週は学習期間です。
小規模・中規模・大規模の構成例3つ
以下の3つは想定例で、月予算とコンバージョン量に応じて伸縮します。数字はアカウントごとに変わりますが、変わらないのは、どのキャンペーンも自分の学習を支えられるだけのデータを持つ必要があるという点です。
小規模アカウント (月20〜40コンバージョン): 2〜3キャンペーンで足ります。
- 指名検索: 1キャンペーン、1広告グループ、予算は小さく。
- 一般検索: 1キャンペーンにテーマ別で3〜4広告グループ。
- 商品を売るならショッピングを1キャンペーン。サービス業ならこの段階でのリマーケティングは後回しにします。
中規模アカウント (月40〜150コンバージョン): 4〜6キャンペーン。
- 指名検索: 独立したキャンペーンと独立した予算。
- 一般検索: 1〜2キャンペーン、それぞれテーマ別で4〜6広告グループ。
- ショッピング: 利益率帯で高低2キャンペーンに分割。
- Performance Max: 1キャンペーン、商品グループ単位のアセットグループ。
- 動画やデマンドジェネレーション: 予算を分ける必要が本当にある場合のみ。
大規模アカウント (月150コンバージョン超): 8〜12キャンペーン。
- 指名は独立キャンペーン、競合名検索は別キャンペーン。
- 一般検索: カテゴリ単位で3〜4キャンペーン、各5〜7広告グループ。
- ショッピング: 利益率帯で2〜3キャンペーン。
- Performance Max: ROAS目標が異なる商品グループ向けに2キャンペーン。
- リマーケティングと顧客リスト: 独立キャンペーン。
- 国や言語が分かれる場合は、それぞれに専用のキャンペーンセット。
構成の判断が高くつくのは、判断そのものより気づくのが遅れるからです。Ads Sensor はキャンペーン当たりのコンバージョン数、プラットフォーム横断のROAS、異常検知のシグナルを1つの画面に並べます。AI分析はどのキャンペーンがデータ不足かを根拠つきで示し、適用した変更の前後を自動で追跡します。ベータに登録して、自分のアカウント構成を同じ視点で見てみてください。