DSA広告(動的検索広告)とは、キーワードリストの代わりに自社サイトのページを対象にするGoogle 広告の検索キャンペーンです。Googleがサイトをクロールし、入ってきた検索語句に最も近いページをリンク先として選び、見出しをそのページの内容から生成します。結論を先に言うと、ページ数が多く更新が頻繁で文章が明快なカタログでは、キーワードキャンペーンが取りこぼす需要を拾えます。一方で内容の薄いサイト、単一商品、記事中心のサイトでは無関係な検索語句に費用を使います。判断はキャンペーン設定ではなく、サイト構造の側にあります。
DSA広告(動的検索広告)とは何か
動的検索広告は、広告主がキーワードではなくページを渡す検索キャンペーンです。Googleのクローラーがサイトをインデックスし、検索語句が来ると該当ページを選び、そのページの内容から見出しを作ります。広告主に残るレバーは三つだけです。説明文、対象として許可するページの範囲、そして入札戦略。つまりマッチの判断は、キーワードリストではなくサイトの文章から出てきます。
DSAの発見効果はどれくらい続くのか
DSAの本当の価値は新しい検索語句の発見です。既存のキーワードリストが覆っていない、成約するロングテールの検索語句を拾えます。実務では、この寄与は最初の数週間に集中し、その後は落ちていきます。理由は単純で、見つけた儲かる検索語句をキーワードキャンペーンへ移すため、DSAの手元には弱い需要だけが残るからです。だからDSAは常設の集客エンジンではなく、発見用のレーンです。
曲線が平らになる地点は判断のタイミングです。発見が止まったなら選択肢は二つあります。まだ覆えていないページ群だけにDSAを絞るか、統制の効くキャンペーンへ予算を移すかです。悪いのは三つ目の選択肢、つまり予算をそのままにして、DSAが自社のキーワードキャンペーンと同じ検索語句を奪い合う状態を放置することです。
DSA広告と従来のキーワードキャンペーン、どちらを使うか
両者は競合ではなく、役割が違います。キーワードキャンペーンが与えるのは統制です。どの検索語句にどの文面、どのリンク先、いくらの入札で出るかを広告主が決めます。DSAが与えるのは網羅です。手作業では書ききれない量のページと、事前に予測できない検索語句を拾います。実務で正しい構成は、中核の需要はキーワードキャンペーンに残し、DSAには覆えていないページだけを任せることです。
- キーワードキャンペーンが勝つ場面:検索数の多い中核語句、指名検索、そして入札と広告文を厳密に管理したいすべての領域。
- DSA広告が勝つ場面:ロングテールの発見、追加されたばかりの商品ページ、季節性や回転の速い在庫、手作業では管理しきれない大規模カタログ。
- 併用が機能する条件:既存のキーワードと自社ブランド名をDSAキャンペーンの除外キーワードとして読み込ませ、重複を断つこと。
どんなカタログとサイト構造で成果が出るのか
DSAの原材料はサイトの文章です。ページタイトル、商品説明、カテゴリ文が明確に書かれているほどマッチは正確になります。逆も成り立ちます。テンプレートで量産された、内容が重複した、あるいはほぼ空のページはGoogleに誤った信号を送り、広告が無関係な検索語句へ開いてしまいます。判断するときはキャンペーン画面ではなく、サイトマップを見てください。
- 成果が出る構造:数百から数千の商品ページがあり、在庫が定期的に更新され、各ページに独自で説明的な文章がある。
- 成果が出る構造:季節性が強い、あるいは入れ替わりの速いカタログで、誰かがキーワードを書く前に新商品を配信し始める必要がある。
- 予算を溶かす構造:5ページから10ページ程度の企業サイトや単一商品のランディングページ。DSAに選ぶ余地がなく、どの検索語句も同じページに着地する。
- 予算を溶かす構造:ブログや解説記事が商用ページを大きく上回るサイト。DSAは購入意図のない情報検索にマッチしてしまう。
検索語句レポートを一行ずつ読む作業から離れる
Ads SensorはGoogle 広告のデータを読み、無駄な検索語句とページの傾向を根拠つきで示します。
DSAはどうやって指名流入を飲み込むのか、どう止めるのか
これはDSAで最も高くつき、最も頻繁に起きる失敗です。自社ブランド名で検索した人の語句は、トップページや会社案内ページに簡単にマッチします。結果としてDSAが指名流入を引き受け、指名キャンペーンの数量が落ち、自然検索やもっと安く取れたはずのクリックを二重に買うことになります。レポート上の合計コンバージョンは良く見えます。実際にコンバージョンは起きているからです。ただ、そこに増分はありません。指名と一般の流入を分けて測るべき理由は指名キーワードと一般キーワードの分離で詳しく書きました。
- 自社ブランド名の表記ゆれと誤入力をすべてDSAキャンペーンの除外キーワードに登録する。
- 指名検索は専用キャンペーンに残す。DSAの仕事は指名以外の需要を見つけることです。
- トップページ、会社概要、採用、問い合わせ、返品といった非商用ページを対象から外す。
- 最初の2週間を過ぎたら検索語句レポートを開き、ブランド名を含む行を一つずつ印を付ける。傾向が見えた時点でリストとして除外する。
除外キーワードの設計そのものはここでは作り直しません。アカウント階層でのリスト構成、マッチタイプの選び方、定期メンテナンスの手順は除外キーワード戦略にまとめてあります。DSA固有の違いは一点だけです。ここでの除外リストは最適化の設定ではなく、キャンペーンが成立するための前提条件です。
開始前に必須のチェックは何か
DSAを組むのに10分。統制のないDSAを片付けるのに数週間かかります。キャンペーンを開く前に四つの判断が済んでいる必要があります。広告がどのページへ到達してよいか、どの検索語句を確実に締め出すか、指名流入をどこに集めるか、そして結果をいつ読むか。この四つが文章になっていないなら、まだ開始しないでください。
入札については、どの検索語句で出るかを事前に知り得ないため、手動入札はDSAでうまく働きません。コンバージョン数の最大化か目標CPAが一般的な出発点です。週あたりのコンバージョンが数件しかない場合は、先に計測を固めてください。自動入札は弱い信号からはうまく学習できません。
Performance MaxやAI Maxとの違いは何か
三つとも自動化を含みますが、範囲が異なります。DSAは検索ネットワークだけで動き、自動化するのはマッチの部分だけです。Performance Maxは検索を含むすべての在庫を一つのキャンペーンに束ね、チャネル配分まで広告主の手から離します。AI Maxは通常の検索キャンペーンの中に入るマッチとアセットの層で、GoogleはDSAをここへ移そうとしています。実務的な帰結はこうです。DSAを失うときに失うのは自動化ではなく、検索だけに留まる権利です。その箱を開けるためにどのレポートと制御が残るかはPerformance Maxの最適化にまとめました。
どのレポートを見て判断するのか
DSAを動かすレポートは三つです。検索語句レポートはどの語句で表示されたかを示し、動的広告ターゲットのレポートはどのページがリンク先に選ばれたかを示し、指名の内訳は入ってきた流入のうちどれだけが元から自社のものだったかを示します。この三つを合わせて読まない限り、DSAが本当に新しい需要を運んでいるのか、既存の需要を買い直しているだけなのかは答えられません。
Googleは、AI Maxへ移行したキャンペーンで平均およそ14パーセント、完全一致とフレーズ一致に依存していたアカウントでは最大27パーセントのコンバージョン増加を報告しています。これはプラットフォーム自身の数字であり、独立した計測結果はもっと広い範囲に散らばります。明確な改善が出るアカウントもあれば、横ばいや悪化に終わるアカウントもあります。誠実なやり方は約束を先に受け入れることではなく、自社アカウントで並行テストを組んで移行を測ることです。こうしたテストと検索語句の傾向を一つの画面で追いたい場合は、Ads Sensorのベータに登録できます。